わが町のたからもの「お彼岸とぼた餅」

お彼岸とぼた餅

 もち米やうるち米などを炊き、軽くついて小さく丸め、小豆餡やきな粉などをまぶした餅のことをいい、お彼岸のお供え物として馴染み深い料理です。古来より邪気を払う力があると信じられていた赤い色をもつ小豆と、貴重品であった砂糖を多く使用することから、大切な先祖に礼を尽くす意味を込めて供えられるようになったのではないかと考えられています。
 ぼた餅ではなくおはぎと呼ぶこともありますが、呼称の区別や定義については諸説あります。牡丹の花が咲く春のお彼岸に供えるものを「ぼた(牡丹)餅」、萩の花が咲く秋のお彼岸に供えるものを「おはぎ(萩)」と呼ぶ説、こし餡をまぶしたものは牡丹の花に似ていることからぼた餅、つぶ餡のものは萩の花が咲き乱れる様子に似ていることからおはぎと呼ぶ説など、地方や家庭により様々です。一方、形状についても、俵型のものや大福のように餡が中に詰められたものがあるなど、バリエーション豊かです。
 本町では昔から、お彼岸の中日には各家庭でぼた餅を作って供え、先祖を偲ぶことが習わしとなってきました。地区によってはワカ(巫女)に先祖の霊を呼び寄せてもらい、吉凶禍福を聞くことが盛んにおこなわれていたということです。

2021年3月15日発行 町報かわにし3月号掲載

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