わが町のたからもの「六面幢」


↑赤地蔵堂境内の六面幢(吉島地区)

六面幢

 六面幢(ろくめんどう)とは、地蔵菩薩の姿を浮き彫りした石幢のことで、六地蔵石幢や六角地蔵などとも呼ばれ、町内には現在37基が確認されています。生き物の死後生まれ変わりを繰り返すとされる6つの苦界─地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天─のそれぞれに地蔵菩薩がおり、迷える衆生を救済するという「六地蔵」に対する信仰が根底にあります。
 中国・唐代に盛んになった地蔵信仰が日本に伝来すると、やがて民間信仰と結びつき、様々な姿の「お地蔵さま」が信仰されるようになりました。その過程で六面幢の形ができ、特に室町時代頃から盛んに造立されました。
 残された銘文から、その多くが死者供養や現世・来世の安楽を願って造立されたことが見てとれます。また、寺院や墓地、村境付近にあることから、境界を守る「賽の神」の役割も果たしていたのではないかと考えられます。
 町内にある六面幢の中には寛延や明和、江戸中期の年号が刻まれているものもあり、上小松の字六角、中小松の字六角、玉庭の字柴引六角は、六面幢を祀っていたことがその名の由来といわれています。当時の人々の生活と信仰の密接なかかわりを示す、重要な資料です。

2020年8月15日発行 町報かわにし8月号掲載

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