↑現在も大切にされている牛頭天王
牛頭天王堂
大塚地区西大塚の近野昌信氏宅の敷地内には、疫病除けの神・牛頭天王が祀られています。
牛頭天王は、明治の神仏分離以前の八坂神社(京都)や津島神社(愛知)の祭神で、頭上に牛の頭をいただく姿をした神です。薬師如来の垂迹(すいじゃく)(衆生救済のための仮の姿)で、神道では素戔嗚尊(スサノオノミコト)と同体とされ、一説には祇園精舎の守護神ともいわれます。
牛頭天王堂は天明2(1782)年9月、病が入り込む方角とされる裏鬼門に建立されました。家人が痘瘡に罹(かか)ったため、先祖が祇園社(八坂神社)より勧請し、屋敷神として奉祀したと伝えられています。この時、きゅうりやバラなど、発疹を連想させるようなトゲのある7種のものを禁忌としたことから、現在に至るまできゅうりを栽培したことがないそうです。
近野家の牛頭天王は「疱瘡神(ほうそうがみ)」と呼ばれ、近隣の地域の人々にも厚く信仰されていました。旧暦の3月8日が祭日で、近野家では一族の3軒がそれぞれ重箱を持ち寄って牛頭天王に手を合わせ、お祝いしているとのことです。
新たな感染症が猛威を振るう昨今、病除けとして昔から大切にされてきた神様や仏様に注目してみてはいかがでしょうか。
2020年6月15日発行 町報かわにし6月号掲載