↑田の神(右端)と雷様(中央)の祠が並ぶ様子(大字大舟)
田んぼと雷
田んぼの緑が美しい7月から8月上旬、稲が最も成長するこの時期の天候は米の収穫量に影響するといわれ、とくに雷が多いと豊作になるという言い伝えがあります。
かつて「神鳴り」と表された雷は、その光に稲を実らせる力があると考えられ、「稲の夫(つま)(配偶者)」と称したことが稲妻の語源ともいわれています。また、水神と同一視されることもあり、古来より五穀豊穣をもたらす存在として信仰されてきました。
昔から稲作が盛んな本町では、田の神などとともに雷を祀った石碑や祠がみられ、なかには田の神と雷様の祠が並んで建立されているところもあります。大字黒川、大字上奥田、大字尾長島など町内の複数個所には「雷」(いかずち・かみなり)という地名があり、先人が日々の生活の中でその関係性と重要性に気づき、畏敬の念をもってきたことが垣間見えます。
夏の雷と豊作の関係性については科学的に立証されています。雷が発生する際には稲の成長に適した日照・気温・降水がもたらされること。植物の発育を促進する空気中の窒素が、雷放電による化学反応で雨に溶けて地上に降り注ぐことで天然の肥料となることが根拠としてあげられています。
2021年7月15日発行 町報かわにし7月号掲載