↑覆屋で守られ大切にされている「土祖神」(大字洲島)
土祖神
道祖神は、村境や道の辻、峠の登り口などによく祀られる神で、道陸神や塞(さえ)の神、才ノ神などとも称されます。多くの場合、他所からくる疫病や悪霊など悪しきものの侵入を防ぎ、境界を守る存在として信仰されています。
古代からある「塞ぎ」の信仰に、神道の猿田彦神や古代中国の道の神・道祖など、「みちびき」に関する多様な信仰の影響を受けて複雑化し、縁結びや家内安全、交通安全の神としても信仰されるようになりました。ご神体は、神名を刻んだ文字塔や男女の仲睦まじい姿を刻んだ石碑、陰陽石や石の祠など、バリエーション豊かです。
本町の道祖神は文字塔が多く、家形塔婆や穴のあいた石がご神体のケースもあります。また、大字洲島の土祖神や大字時田の道六神など、道祖神にまつわる地名が複数箇所あり、昔から身近な存在であったことがうかがえます。
本町を含む近隣の地域の道祖神は「耳の神」として信仰されてきた一面もあります。みちびくことが転じて「通りをよくする」と解釈されたからではないかと考えられています。道祖神には穴のあいた石が奉納されていて、この石を耳にあてると耳の病が治るといわれており、治った人は同様の石を2個返納するという決まりもあったということです。
2021年11月15日発行 町報かわにし11月号掲載